こんにちは。七宮さん(@Shichinomiya_s)です。
さて、今回の記事ですが、『”HDDおみくじ”で有名な大容量WD Elements外付けHDDを買ってみた。』という題材です。
SNSなどで『安い』『破格』『Ultrastar⁉』などと言われてるアレです。
米Amazonでタイムセールをしてる情報をキャッチした(FFの方が投げてくださった)ので、便乗してみました。
・大容量HDDがとにかく安すぎる。
まずはこのスクリーンショットを見てみましょう。
WDの一般的な12TBの外付けHDDですね^^
次に価格.comのHPを見てみましょう。
最安値のWD Red 12TBが44,696円で売ってますね^^
ここで、先程のスクリーンショットを見てみましょう。
『18,645円』と記載されているのがわかると思います。
そう。ありえへん価格なのです。
・噂の”HDDおみくじ”とは
これは、外付けHDDの中に入っているHDDに2機種あるモデルがあり、1つはヘリウム入り。もう一つは普通の空気入りと個体差があったことによる『おみくじ』です。
今回、私が購入したWD Elements 12TBは現在確認できている限り、2機種あるのですが、どちらもヘリウム入りです。
2機種の違いは後で解説します。
ここまで読んで、「…..ん???」と思いませんか。この破格でなんと『ヘリウム入り』なのです。高価格帯HDDにしか入ってないはずの『ヘリウム』が封入されているのです。
一番最安値のWD Red 12TBと比較しても2.6万ほどの価格差があるのに、HelioSealモデルとなると
3.2万ほどの価格差があります。しかもWD Goldです。そう。頭おかしいほど安いのです。
・12TBの2モデルを紹介
現在、WD Elements/Easystore/My Bookシリーズから
WD120EMAZ-11BLFA0
WD120EMFZ-11A6JA0
という2モデルが確認されています。
・WD120EMAZ-11BLFA0
今回のタイムセールで購入した人がほとんどこの型番だった模様です。(七宮さん調べ)
このモデルは、赤線部分のR/Nを見ると『US7SAM120』と記載されています。
この型番をGoogle検索掛けると、まさかの『Ultrastar DC HC520』のOEM版のデータシートがヒットします。
Ultrastar DC HC520 (He12) SATA OEM … – Western Digital
※PDF直リンクです。
・WD120EMFZ-11A6JA0
こちらのモデルは、Easystore版での報告が多かった品番です。
こちらは、私は所有してないので写真はお見せできませんが、海外の方がアップロードしてくださった画像によると、R/Nは『US7SAP140』です。
同じくデータシートを見てみると、『Ultrastar DC HC530』のOEM版と記載されており、な、なんと
14TBモデルです。
は???と思った人もいらっしゃると思いますが、
『14TBモデルをファームウェアでストレージダウングレードをさせ、12TB』にしています。
完全に頭逝ってますね。Western Digitalさん。
・そもそもUltrastarとは
HGST(日立グローバルストレージテクノロジーズ)が保有していたブランドで2012年にWDに買収されました。
暫くはWD傘下でHGSTブランドでHDDを出していましたが、2018年にHGSTではなくWDとしてUltrastarブランドで DC HC300シリーズを発表しました。
この、WD Ultrastarは既存のWD Goldシリーズを置き換えるためのブランドでWDの最上位HDDとなっています。
そんな、WDの頂点に立つHDDが激安で販売されているのです。
・性能はUltrastarではない。
端的に言うと、ファームウェアで性能が制限されています。CPUで言えば、ベンダーによってクロック制限が入っているのと似たような感じです。
WD Elementsの仕様を見てみましょう。先程のデータシートでは明らかに『7,200rpm』と記載されていますが、WD Elementsの仕様ページでは『5,400rpm』と記載されています。
しかし、HDDに記載されている品番とデータシートの情報が一致しないことは確実にないため、7,200rpmのHDDを5,400rpmまで回転数を落としているか、FWで5,400rpmのHDDと同じ転送速度に落としているかのどちらかになります。
そこで、1秒間に1回の振動数を計測すると、
『118(Hz)』と出ました。『Hz』は1秒間の振動数ですので、1分間当たりの振動数を表す『rpm』にするには60(s)を掛けてあげればよいのです。
よって、118(Hz)*60(s)≒7,200(rpm)なります。
この計算結果より『7,200回転で駆動させ、FWで5,400rpm並みの転送速度まで落としている』という結論になりました。
・ベンチマークテスト
測定環境
モデル名: Precision T3600 Desktop Workstation
CPU: Intel Xeon E5-2690 (8 core / 16 Threads)
GPU: DELL GeForce GTX 1060 (6GB)
RAM:40GB (4+4+16+16)
SSD: Samsung 960EVO 500GB
OS: Windows 10 Pro (Build 1909)
CrystalDiskMark
・試行回数5回、1GiB
Ultrastar DC HC510のレビューサイトに掲載されている条件と同じにしてみました。
レビューサイトに掲載されている250MB/sオーバーには至りませんでした。
WD Ultrastar DC HC510 10TB SATA Hard Drive Review
HD Tune
こちらもUltrastar DC HC510のレビューサイトに掲載されている条件と同じにしてみました。
私の予想では、最大速度は200MB/s程度で最低速度が同じになるのではないかと予測していたのですが、大外れ。
レビューサイトの結果では最低が110MB/s程度だったのに対して、WD Elementsのは100MB/sを割ってしまいました。
・なぜ『Ultrastar』を低価格で外付けHDDに組み込んで販売しているのか。
これに関しては、あくまでも憶測での話になります。本当の理由はWDの社員でもない限り知りうることはありません。
まず、このWD ElementsのHDDにはどこにも『Ultrastar』とは書かれていません。他のブランド名も書かれているわけでもないので、『ノーブランド』の扱いになります。
・保証期間の短縮によるコスト削減
WD Ultrastarの保証期間は5年間ですが、WD Elementsの保証期間は大衆向けのWD Blueと同じ2年間です。
さらに、この保証期間は『外付けHDD』として用いた場合のみ有効です。分解した時点で保証は失効します。
このような保証期間を短くすることや外付けHDDとして用い場合のみと用途を限定し、コスト削減を図っているのではないかと推測します。
・ファームウェアによる機能制限と量産化によるコスト削減
WD Ultrastarシリーズはデータセンターや企業のアーカイブ用HDDなどで用いられることで大量に用いられることが多いですが、WD BlueやWD Redよりかは需要が圧倒的に少なく、高性能化されているために必要な分を必要なだけ生産するスタイルにしてしまうと製造コスト・販売価格が高くなってしまう可能性があります。
そこで、需要より多めにWD Ultrastarを製造し、余剰分はWD Elements, Easystore, My bookシリーズに回せば需要が高まった際にもすぐに対応できる他、安定した価格で販売ができるようにしているのではないかと推測します。
WD Elementsなどの外付けHDDに組み込めばUSB 接続での『アーカイブ』を目的とした用途にしか向きませんし、だからと言って分解すれば保証は無効。ただ、無効でもUltrastarであることは事実なのでFWによって機能制限はかけているという感じかもしれません。
ストレージコントローラ類もWD Ultrastarブランドで販売されているものと同一ですしこの考え方が一番筋が合うと思います。(基盤の品番より)
さいごに
WD Elements 12TB HDDを紹介していきましたが、いかがだったでしょうか。
最後の考察部分は私の勝手な考えですので、『こういう理由じゃないか』などございましたら、コメントなどに記載して下さると嬉しいです。
Ultrastarベースでこの価格は非常に低価格だと思いますので、是非大容量モデルを米アマゾンから購入してみるのはいかがでしょうか。