USB-CとDisplayPortの違いは?デイジーチェーンで複数モニターをつなぐ仕組みを徹底解説

こんにちは、七宮さん@Shichinomiya_sです。

先日、DELLのハイエンドモニターを購入し、デイジーチェーン接続を試してみたところ、想像以上に奥が深く、沼にハマりました。

今回、調べた内容を備忘録としてまとめました。DisplayPort周辺の仕様に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

 

Table of Contents

DisplayPortの基本知識

端子形状

DisplayPortには主に以下の3種類の端子形状が存在します。

・PC用グラフィックボード:DisplayPort
・Macなど:mini DisplayPort
・最近のノートPC:USB Type-C(DP Alt Mode対応)

画像出典: wikipedia – List of video connectors(※一部画像改変)

特に重要なのが USB Type-C/Thunderbolt 端子 です。
USB-Cには「DisplayPort Alt Mode」という映像出力規格があり、これに対応したUSB-CのみがDisplayPortとして動作します。

そのため、USB-Cだからといって必ず映像出力に使えるわけではなく、「Alt Mode対応かどうか」「ポートとして映像出力に割り当てられているか」を確認する必要があります。

USB-C Alt Mode対応の確認方法

お使いのデバイスがDisplayPort Alt Modeに対応しているかを確認する方法:

ポート横のアイコン確認:DisplayPortまたはThunderboltのアイコンがあればAlt Mode対応
製品仕様書を確認:メーカーの公式仕様に「DisplayPort Alt Mode」「DP Alt Mode」の記載があるか
デバイスマネージャーで確認(Windows):USB-Cポートのプロパティで「Alternate Mode」の記載を確認
システム情報で確認(Mac):「このMacについて」→「システムレポート」→「USB」で確認

注意:充電専用のUSB-Cポートは映像出力に対応していないことが多いです。

 

DisplayPortのバージョン情報

DisplayPortには複数のバージョンが存在し、バージョンによって最大帯域幅や出力可能解像度が変わります。

DPバージョン データ転送速度規格 レーン数 最大仕様帯域幅 最大有効帯域幅
1.2 HBR2 4 21.6 Gbps (5.4 Gbps × 4) 17.28 Gbps (4.32 Gbps × 4)
1.3/1.4 HBR3 4 32.4 Gbps (8.1 Gbps × 4) 25.92 Gbps (6.48 Gbps × 4)
2.1 UHBR10/UHBR13.5/UHBR20 4 40 Gbps/54 Gbps/80 Gbps(2.1仕様) 約38.7/52.2/77.4 Gbps(128b/132b符号化後)

※DP 2.1では、従来の8b/10b符号化から「128b/132b符号化」に移行されており、帯域効率が向上しています。
※ケーブルおよびデバイスの実装次第で、UHBR13.5/UHBR20をサポートしているかは機器により異なります。

 

DisplayPortケーブルの選び方

DisplayPortケーブルを選ぶ際には、以下のポイントに注意が必要です。

ケーブルの認証マーク

VESA(Video Electronics Standards Association)が認証したケーブルには以下のマークがあります:

Certified DisplayPort Cable:DP 1.2/1.4対応の認証済みケーブル
DP40 / DP54 / DP80:DP 2.1対応ケーブルの新しい認証(40/54/80 Gbpsに対応)

認証マークがないケーブルは、表記されている仕様を満たさない場合があります。

ケーブル長による制限

DisplayPortケーブルの長さによって、対応できる解像度や帯域幅が変わります。

1m以内:ほぼ全てのケーブルで最大仕様を発揮可能
2m以内:DP 1.4で4K 60Hz、DP 2.1でUHBR20までサポート(品質の良いケーブル)
3m以上:ケーブル品質により帯域が制限される場合あり。長距離の場合はアクティブケーブルを推奨

重要:デイジーチェーンでは複数のケーブルを使用するため、各ケーブルの品質が全体のパフォーマンスに影響します。

パッシブケーブル vs アクティブケーブル

パッシブケーブル:通常のケーブル。2m以下の使用に適している
アクティブケーブル:信号増幅機能を内蔵。3m以上や4K 120Hz以上の高帯域幅が必要な場合に推奨

USB-C to DisplayPortケーブルの注意点

USB-C to DisplayPortケーブルを使用する場合:

・USB-Cポート側がDisplayPort Alt Mode対応である必要がある
・ケーブルのDP対応バージョン(1.2/1.4/2.1)を確認する
・双方向対応か一方向のみかを確認(一方向の場合、USB-C→DPの向きが決まっている)
・Thunderbolt 3/4対応ケーブルはDisplayPort信号も伝送可能

 

MSTとSSTの違い

MST(Multi Stream Transport)

DisplayPort 1.2から搭載された機能で、「1つの出力端子から複数の映像信号を出力できる」仕組みです。
例:デイジーチェーン、MST対応ハブなど。
複数モニターを1ポートから繋げたい場合はこの方式が使われます。

MSTのメリット

・PCの映像出力ポートが少なくても複数モニターを接続可能
・ケーブル配線がすっきりする
・1つのポートから最大4台までのモニターに分配可能(理論上)

MSTのデメリット・注意点

・モニター側がMST対応である必要がある
・帯域幅を複数のモニターで分け合うため、高解像度・高リフレッシュレートでは制限を受ける
・G-SyncやFreeSyncなどの可変リフレッシュレート技術が使えない場合がある
・一部のアプリケーション(特に一部のゲーム)でMSTとの互換性問題が発生することがある

SST(Single Stream Transport)

従来方式で、1つの出力端子から1つの映像信号を出力するというもの。MSTが登場してから、区別のために「SST」という言葉が使われるようになりました。

SSTのメリット

・全ての帯域幅を1つのモニターで使用可能
・G-Sync、FreeSync等の可変リフレッシュレート技術に対応
・互換性の問題が少ない
・ゲーミング用途に最適

SSTのデメリット

・複数モニターを接続する場合、各モニターごとに個別のポートとケーブルが必要
・PCの映像出力ポート数に制限される

MST vs SST:どちらを選ぶべきか

用途 MST推奨 SST推奨
ゲーミング ○(G-Sync/FreeSync対応)
オフィスワーク・マルチタスク ○(複数モニター接続が容易) △(ポート数が足りれば)
クリエイティブ作業 △(色精度重視ならSST)
ポータブルPC + 複数モニター ○(ポート数が限られる)

 

DisplayPortにおけるデイジーチェーンとは

PCから各モニターへ1本ずつケーブルを繋ぐ代わりに、以下のように「数珠つなぎ」で接続する方法です。

PC → モニター1 → モニター2 → モニター3 → …

この場合、モニター1からモニター2への出力が可能な「出力端子付きモニター」やMST対応機器が必要です。
この方式により、PCの映像出力ポートが1つしかなくても複数モニターを繋げられ、配線もすっきりします。

(出典:EIZO – デイジーチェーン対応モニターの導入ガイド)

デイジーチェーンの必要条件

デイジーチェーン接続を行うには、以下の条件を満たす必要があります:

1. GPU/SoCがMSTに対応していること(DP 1.2以降)
2. モニターがMST対応であること(DisplayPort Outポートを搭載)
3. 使用するケーブルがDP 1.2以降に対応していること
4. OSがマルチモニターをサポートしていること(Windows 7以降、macOS 10.11以降など)

注意:macOSの一部バージョンではMSTのサポートが制限されており、Boot CampでWindowsを使用する場合のみMSTが利用できることがあります。最新のmacOS対応状況は公式サイトで確認してください。

デイジーチェーンの設定手順

【Windows環境での設定】

ステップ1:物理的な接続
1. PCのDisplayPortまたはUSB-C(Alt Mode対応)から、最初のモニターのDisplayPort Inに接続
2. 最初のモニターのDisplayPort Outから、2台目のモニターのDisplayPort Inに接続
3. さらにモニターを追加する場合は、2台目のDisplayPort Outから3台目に接続

ステップ2:モニター側の設定
1. 各モニターのOSD(On-Screen Display)メニューを開く
2. 「DisplayPort」設定を探す
3. 最後のモニター以外は「DisplayPort 1.2 MST」または「DP MST」を有効にする
4. 最後のモニター(チェーンの終端)は「DP MST」を無効にする

ステップ3:Windows側の設定
1. デスクトップを右クリック →「ディスプレイ設定」を開く
2. 「マルチディスプレイ」の項目で「表示画面を拡張する」を選択
3. 各モニターの配置や解像度を調整
4. 「検出」ボタンを押して、すべてのモニターが認識されているか確認

【macOS環境での設定(対応機種のみ)】

1. 物理的な接続はWindowsと同様
2. システム環境設定 →「ディスプレイ」を開く
3. 「配置」タブでモニターの配置を調整
4. 各モニターの解像度を確認・調整

注意:多くのMacではMST方式のデイジーチェーンがサポートされていません。Thunderbolt Displayのデイジーチェーン(別方式)は可能です。

デイジーチェーン接続時の注意点

最終モニターはMSTを無効にする:最後のモニターでMSTを有効にしたままだと、信号が正しく終端されず、表示が不安定になることがあります
モニターの電源投入順序:PCを起動する前に、すべてのモニターの電源を入れておくと認識されやすくなります
ケーブルの品質:複数のモニターで帯域を共有するため、各ケーブルが規格に適合している必要があります
解像度の制限:チェーン全体で使用できる帯域幅に制限があるため、高解像度モニターを複数接続すると、リフレッシュレートや色深度が制限される場合があります

 

デイジーチェーンで接続できる枚数

まず、各解像度・リフレッシュレートに必要な帯域を以下にまとめます。

解像度 帯域幅(参考値)
1920 x 1080 (FHD, 60Hz) 3.20 Gbps
2560 x 1440 (WQHD 2K, 60Hz) 5.63 Gbps
3840 x 2160 (UHD 4K, 60Hz) 12.54 Gbps

これを基に、DisplayPortの有効帯域から「最大何枚接続できるか」をざっくり見ると以下のようになります。

DPバージョン 1920 x 1080
(FHD)
2560 x 1440
(WQHD)
3840 x 2160
(4K)
DP 1.2 4枚 2枚 1枚
DP 1.3 / 1.4 8枚 2枚 2枚
DP 2.1(UHBR10相当) 12枚以上(理論) 4枚以上(理論) 3〜4枚以上(理論、但し実装次第)

※DP 2.1の「3〜4枚以上(理論)」というのは、帯域上は余裕があるものの実装(モニター側のデイジーチェーン端子有無、MST対応、ケーブル・GPU/SoC側の制限)に大きく左右されます。
※また、4Kを240Hzなど高リフレッシュで出す場合はDSC(Display Stream Compression)等を併用するケースも増えています。

なお、実際には CPU/GPUの出力回路の制限 が優先されるため、仕様だけで「何枚でも繋げる」という訳ではありません。

帯域幅の詳細計算方法

DisplayPortで必要な帯域幅は、以下の式で概算できます:

帯域幅 = 解像度(横×縦) × リフレッシュレート × 色深度 × オーバーヘッド係数

具体例:4K 60Hz 8bit(標準)の場合

・解像度:3840 × 2160 = 8,294,400 ピクセル
・リフレッシュレート:60Hz
・色深度:24bit(8bit × RGB)
・オーバーヘッド:約1.25倍(ブランキング期間等)

計算:8,294,400 × 60 × 24 × 1.25 ÷ 1,000,000,000 ≒ 12.54 Gbps

色深度による違い

色深度 1ピクセルあたりのビット数 4K 60Hzでの帯域
8bit(SDR標準) 24bit 約12.54 Gbps
10bit(HDR) 30bit 約15.68 Gbps
12bit(プロフェッショナル) 36bit 約18.81 Gbps

このため、HDRコンテンツを扱う場合は、通常よりも多くの帯域幅が必要になります。
デイジーチェーンで複数モニターを接続する際は、この点も考慮に入れる必要があります。

DSC(Display Stream Compression)について

DSCは、VESA Display Stream Compression標準に基づく「視覚的にロスレス」な圧縮技術です。

DSCのメリット

・帯域幅を約3分の1に圧縮可能(圧縮率は調整可能)
・視覚的にはほぼ劣化なし(一般的な使用では判別困難)
・4K 144Hz、8K 60Hzなどの高帯域幅が必要な映像に対応可能
・DP 1.4以降で標準サポート

DSCの注意点

・GPU、ケーブル、モニターの全てがDSCに対応している必要がある
・一部のプロフェッショナル用途(医療画像、色校正など)では使用を避けるべき場合がある
・ゲーミング用途では一般的に問題なし

 

最新バージョン「DP 2.1」で知っておきたいこと

ここでは、DP 2.1導入時点/近未来で知っておきたいポイントを整理します。

  • 最大帯域が「約80 Gbps」まで到達:4レーン×20 Gbps(UHBR20)で理論80 Gbps。
  • 圧縮技術DSC(Display Stream Compression)サポートが前提化:高解像度&高リフレッシュレートで映像信号を可搬にするため、DSCを使う製品が今後主流。
  • USB-C/USB4との親和性が強化:DP 2.1ではUSB-C(Alt Mode)やUSB4トンネリングとの整合性を高め、1ポートで「映像+データ+給電」がより実用的に。
  • 新しいケーブルカテゴリー「DP 40/DP 80」等:UHBR10(40 Gbps)用「DP40」、UHBR20(80 Gbps)用「DP80」などが規定されています。
  • 普及にはタイムラグあり:実際にDP 2.1に完全対応したモニター・GPU・ケーブルが揃うまでには時間がかかっています。

これらを踏まえると、現状「4K/240Hz」「8K/60Hz」「3画面以上構成」など先端用途を狙う方にはDP 2.1対応も視野に入れたほうが良いですが、一般的な4K/60Hz+2画面用途ならDP 1.4でも十分な性能を発揮できます。

 

確認問題:Windows 開発キット 2023の出力仕様

筆者のメイン機「Windows 開発キット 2023」は、以下のような出力仕様になっています。

画像出典:Windows 開発キット 2023 (Project Volterra) – Arm

 

【問題】

Windows 開発キット 2023に4K 60Hzモニターを2枚接続したい。
条件を満たし、どちらも4K 60Hzで表示できる接続方法をすべて選びなさい。

【条件】
・出力元スペックは上記画像に準ずる
・ケーブル・ハブはすべてDP1.4以上対応
・GPU/SoCは「4K×2+FHD×1」の同時出力が可能

【選択肢】

① USB-Cポート2つを使い、USB-C→DisplayPortケーブルでそれぞれ4Kモニターに接続
② USB-C→DisplayPortケーブルで1台、もう1台をデイジーチェーンで4Kモニター同士をDisplayPortケーブル接続
③ USB-C→DisplayPortハブ(MST対応)を使用し、2台の4Kモニターをそれぞれ接続
④ miniDPポートで1台4Kモニター、USB-C→DisplayPortでもう1台4Kモニターに接続
⑤ miniDPポートで1台4Kモニター、もう1台をそのモニターからデイジーチェーン接続(4K同士)する

 

【各選択肢の解説】

① USB-C ×2でSST接続

仕様を見ると、USB-Cポート×2でも、映像ストリームは1系統しか割り当てられておらず、SST接続で4K60Hzを2枚同時出力することはできません。

→ ×

 

② USB-C→4K + デイジーチェーンで4K

こちらはMSTを利用したデイジーチェーン構成。
帯域的・仕様的に4K60Hz×2枚は可能と判断できます。

→ ○

 

③ USB-C→DisplayPortハブ(MST対応)で2台4K

DisplayPortハブがMSTに対応しており、USB-Cポートから4K×2出力可能。

→ ○

 

④ miniDP → 4K + USB-C → 4K

miniDP(通常DP1.2相当)をSSTで4K60Hz出力 ×1、USB-CをSSTで4K60Hz出力 ×1、合計2台4K出力可能。

→ ○

 

⑤ miniDP → 4K + デイジーチェーンで4K

miniDP端子がMST(デイジーチェーン)構成でも4K×2を帯域的に満たす仕様ではないため、4K×2同時出力は不可能と判断。

→ ×

 

【正解】②・③・④

Windows 開発キット 2023は「4K×2枚出力可能」とされていますが、実際にはSST・MST・映像ストリーム数・ケーブル仕様・ポート仕様を正しく理解しておく必要があります。

筆者も当初、USB-Cに4Kモニター+FHDモニターをそのまま差し込んでしまい、4K側がなぜかFHDに落ちてしまい途方に暮れました。

結論としては、

・USB-Cで複数モニターを活用するなら「デイジーチェーンまたはMSTハブ」が事実上必須

ということですね。

また、今後4K240Hzや8K60Hz以上、3画面構成を狙うなら、DP 2.1対応機器・ケーブルを検討する価値があります。

 

実用的な推奨構成例

用途別に、実際に動作する推奨構成をご紹介します。

構成例1:オフィスワーク向け(FHD × 3画面)

PC環境:Windows PC、DisplayPort 1.2以上のGPU
モニター:FHD(1920×1080)60Hz × 3台、MST対応
接続方法:デイジーチェーン(PC → M1 → M2 → M3)
必要帯域:3.20 Gbps × 3 = 9.60 Gbps(DP 1.2の17.28 Gbpsで十分)
ケーブル:DP 1.2認証済み、各2m以内

ポイント:FHD 60Hzは帯域幅が少ないため、DP 1.2でも余裕を持って3画面接続可能。コストパフォーマンスに優れた構成。

構成例2:クリエイター向け(4K × 2画面)

PC環境:ハイエンドPC、DisplayPort 1.4のGPU
モニター:4K(3840×2160)60Hz × 2台、MST対応
接続方法:デイジーチェーン(PC → M1 → M2)
必要帯域:12.54 Gbps × 2 = 25.08 Gbps(DP 1.4の25.92 Gbpsでギリギリ)
ケーブル:DP 1.4認証済み、高品質、各1.5m以内推奨

ポイント:DP 1.4の帯域をほぼフルに使用。色精度が重要な場合はSST(個別接続)も検討。HDR使用時は帯域不足の可能性あり。

構成例3:ゲーミング向け(4K + FHD)

PC環境:ゲーミングPC、DisplayPort 1.4、G-Sync/FreeSync対応GPU
モニター:4K 144Hz(メイン)+ FHD 60Hz(サブ)
接続方法:SST個別接続(デイジーチェーンは使用しない)
理由:G-Sync/FreeSyncを使用するため、メインモニターはSSTで接続必須

ポイント:ゲーミング用途ではMSTのデイジーチェーンは避け、各モニターを個別に接続。メインモニターで可変リフレッシュレートを活用。

構成例4:ノートPC + 外部モニター(4K × 2画面)

PC環境:USB-C Alt Mode対応ノートPC(DP 1.4相当)
接続方法1:USB-C → MSTハブ → 2台の4Kモニター
接続方法2:USB-C → 4Kモニター1 → デイジーチェーン → 4Kモニター2
必要帯域:12.54 Gbps × 2 = 25.08 Gbps

ポイント:ノートPCの場合、USB-CポートのDP対応バージョンを事前に確認。Thunderbolt 3/4対応なら余裕あり。

構成例5:ハイエンド(4K 144Hz × 2画面、DSC使用)

PC環境:最新ハイエンドPC、DisplayPort 1.4 + DSC対応GPU
モニター:4K 144Hz × 2台、DSC対応
接続方法:個別接続(SST) + DSC有効
必要帯域:約30 Gbps × 2(DSC非使用時) → 約10 Gbps × 2(DSC使用時)

ポイント:DSCを使用することで、DP 1.4でも4K 144Hzの2画面出力が可能。GPU、ケーブル、モニターの全てがDSC対応必須。

 

主要GPU/SoCのDisplayPort対応状況

主要なGPU・SoCのDisplayPort対応状況をまとめました(2024年時点の情報)。

NVIDIA GeForce(デスクトップGPU)

GPU世代 DP バージョン 最大同時出力
RTX 40シリーズ(Ada Lovelace) DP 1.4a(DSC対応) 4画面
RTX 30シリーズ(Ampere) DP 1.4a(DSC対応) 4画面
RTX 20シリーズ(Turing) DP 1.4(DSC対応) 4画面
GTX 16シリーズ DP 1.4 3〜4画面

AMD Radeon(デスクトップGPU)

GPU世代 DP バージョン 最大同時出力
RX 7000シリーズ(RDNA 3) DP 2.1(UHBR13.5) 4画面
RX 6000シリーズ(RDNA 2) DP 1.4(DSC対応) 4画面
RX 5000シリーズ(RDNA) DP 1.4(DSC対応) 4画面

注目:AMD RX 7000シリーズは、消費者向けGPUとして初めてDisplayPort 2.1に対応しています。

Intel Arc(デスクトップGPU)

GPU世代 DP バージョン 最大同時出力
Arc A770 / A750(Alchemist) DP 2.0(UHBR10) 4画面
Arc A380(Alchemist) DP 2.0(UHBR10) 4画面

統合GPU・SoC

プロセッサ DP バージョン 最大同時出力
Intel Core 14世代(Meteor Lake) DP 2.1 4画面
Intel Core 13/12世代 DP 1.4 3〜4画面
AMD Ryzen 7000シリーズ(統合GPU) DP 2.0 4画面
Apple M3 / M2 / M1シリーズ USB-C経由でDP 1.4相当 M1: 2画面、M2/M3: 2〜3画面(モデル依存)
Qualcomm Snapdragon X Elite/Plus DP 1.4(USB-C経由) 3画面

注意点:
・上記は理論的な最大値であり、実際の対応状況はマザーボードやノートPCの実装に依存します
・macOS(Apple Silicon)はMST方式のデイジーチェーンに非対応のため、複数モニター接続には個別ポートまたはThunderbolt Display使用が必要
・最大同時出力数は、解像度や帯域幅によって制限される場合があります

 

まとめ

DisplayPort周辺の規格は複雑ですが、ポイントを押さえておけば、適切な構成を組むことができます。

DisplayPort周辺の規格は複雑ですが、理解すれば私のような配線/接続ミスを避けられます(笑) ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

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